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事件ノート::弁護士 穂積匡史

おかしい、と感じたらすぐに―某ホテル・チェーンの違法な配転命令を巡って

ファイル 8-1.jpg萩原さんは大手ビジネスホテル・チェーンで、システム・エンジニア(SE)として働いていました。本社SE職に憧れ、以前より賃金が下がるにもかかわらず自ら応募した職場でした。ところがある日、会社から、ホテルのフロント業務への配転を命じられました。伸ばしていた髪を短く切らなければならず、また、何より苦手な接客をしなければいけない業務であり、辞めろというに等しい命令でした。

 萩原さんは川崎地域合同労組に加入して団体交渉を行い、また、私が代理人となって、この命令は契約違反、権利濫用であるから違法無効であるとして撤回を求め、会社側の弁護士と交渉しました。しかし、会社は「フロントが嫌なら」と今度はホテル客室の清掃業務を命じてきたうえ、これに従わない萩原さんを欠勤扱いして、賃金の支払いを止めるという強硬手段に出ました。

 それでも萩原さんは怯むことなく、毎日、本社に出勤し続けました。会社は萩原さんの社内立入りを禁じ、出社しては追い返されるという日々が続きました。こうして2か月が過ぎ、いよいよ提訴し、記者会見を開こうとした矢先、会社は命令を撤回し、賃金全額を支払ってきたのです。萩原さんの不屈の闘いが実を結んだ瞬間でした。正しいと信じて闘い抜く萩原さんの姿は、職場や組合の仲間にも大きな励ましになっています。

 この5月に開設した武蔵小杉合同法律事務所。おかしい、と感じたらすぐに駆け込んでもらえる、そしてとことんまで支える、そういう事務所にしていきたいと思っています。

萩原さんのコメント:
 元々、一部の役員とそりが合わないことによる嫌がらせの人事でした。命令に従わないなら退職しろと迫られている最中、穂積先生に相談に乗っていただき、その席で川崎地域合同労組を紹介され、加入しました。一人で闘っているのではない、同じような悩みを持っている仲間がいると分かりました。一人ではないという気持ちが、出社しては追い返される日々の私を支えてくれました。現在、ホテルへの配転は完全に取り消され、元気に働いています。一人で悩まず、泣き寝入りせず、信念を持って闘えば良い結果が得られると思います。ちょっとでもおかしいと思ったら、まずは相談してください。

(この記事は事務所ニュースVol.1からの転載です)


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