多重債務について

Q.借金が多く、支払いに追われて困っています。どうすればよいでしょうか?

 借金の整理の方法には、大きく分けて、任意整理、破産、再生の3つがあります。

 任意整理とは、金融会社やクレジットカード会社を相手に弁護士が交渉し、支払い方法を長期にするなど今後の返済方法を決める手続きです。この際、利息制限法で決められた利率の上限(元本額が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%)を超える金利で借金をしている場合は、引直し計算を行います。この計算は、法律上の支払い義務がどのくらい残っているかを確認するために行うもので、計算の結果、法律上は借金の返済を終えているということが分かる場合もあります。
弁護士による交渉が終了すれば、支払いを開始します。多くの場合、3年から5年くらいの期間内に、分割で支払う、というのが具体的な返済方法になります。

 自己破産は、裁判所に対して破産手続開始及び免責許可の申立てをすることをいい、簡単にいうと、その人の財産をお金に換えて全て債権者に分配し、残りの借金を免除していしまう制度です。裁判所は、借金などの返済義務(債務)を免除するかどうかについて決定します(免責許可の決定)。ギャンブルやクレジットカードの使い過ぎで借金が膨らんだなどの事情(免責不許可事由)がある場合、免責が許可されないこともあります。また、税金、社会保険料などの滞納分や、犯罪行為に基づく賠償金、子どもの養育費の支払い義務などは免責許可の決定があっても免除されません。自己破産をすると財産がなくなるかわりに、借金が帳消しになるので、経済的更正を図ることができます。

 個人再生は、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類の手続に分けられます。これは要するに、その人にとって返済可能な額を裁判所に決めてもらい、残りの額を免除してもらう制度です。破産と異なり財産を失うことがないので、サラ金のほかに住宅ローンを持っている場合などに使います。ただし、ある程度まとまった額の定期的な収入がなければ、利用することができません。

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Q.離婚について夫(妻)と話しがつかない場合、どうすればよいですか?

 夫婦間の話合いによる離婚(協議離婚)ができない場合、まず夫婦関係調整調停の申立てをしてください。調停前置主義といって調停をまずおこさなければ裁判にはすすめません。
 離婚の調停が成立しない場合、家庭裁判所で離婚を求める裁判を起こすことになります。
 ただし、裁判による離婚の考え方は相手に責任がある場合に離婚が認められるとする有責主義と、婚姻関係が破綻していれば離婚が認められるとする破綻主義があります。今の裁判所は破綻主義をとっており、性格の不一致などによっても、比較的離婚が容易に認められる傾向にあります。

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Q.破産するとどんな不利益がありますか?

 第1に、財産を失うという不利益です。裁判所が破産手続開始の決定をすると、生活に不可欠な財産として法律で定められているものなどを除き、預貯金、土地や建物(不動産)、有価証券、新車などの財産(おもに時価が20万円を超えるもの)は、原則として、債権者への配当に備え、裁判所が選任する破産管財人の管理下に置かれ、最終的には処分されて債権者への返済に充てられます。

 第2に、管財人が就くケースでは破産手続きが終了するまで郵便物などを開封され、また住居の移動についても裁判所の許可を要します。なお、債権者の配当にあてられるだけの財産が残っていない場合は、通常破産手続開始の決定と同時に破産手続が廃止され(同時廃止)、破産管財人は選任されないので、この不利益はありません。

 第3に、弁護士、公認会計士、会社の取締役など一定の職業について資格が失われる場合があります。具体的には相談の際お尋ねください。

 第4に、一度免責を受けると7年間同じように免責されないという不利益です。

 よく誤解されるようですが、戸籍や住民票に載るとか、子どもに借金がいくといった不利益はありません。金融機関のブラックリストに載るというのは、破産とは直接関係ありません。

 多少のデメリットがあっても、経済的更生が必要であれば、勇気をもって破産した方がよいケースがあります。是非、勇気をもって弁護士に相談してください。

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Q.金融業者から「おまえの子どもの借金なのだから、代わりに支払え」と言われました。

 子どもの借金について責任はありません。
 単に「親だから」という理由だけで肩代わりを求められても、応じる法律上の根拠はありません。ただし、親が子どもの借金の保証人になっている場合には、保証人としての責任を負う場合があります。また、親子間で相続が発生した場合にも責任が生じることがあります。この場合は相続放棄により責任を免れることができます。

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Q.借金の連帯保証人をした人には、どのような責任がありますか?

 連帯保証人は、借主(主債務者)が返済期日までに決められた金額を支払わなかった場合に、貸主(債権者)からその支払いを請求されたときは、これに応じる義務を負うことになります。この場合、貸主は、借金の元本額だけでなく、借主が支払い義務を負う利息や遅延損害金についても請求することができます。さらに、貸主と借主の間で「期限までに支払いをしなかった場合、強制執行されることを認める」という記載(強制執行認諾文言)のある公正証書が作成されているときは、その公正証書に基づいて強制執行を受ける可能性もあります。
 保証人となるよう頼まれた場合、十分考えて(できれば弁護士に相談して)ください。

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