平和と人権を考える映画評論

平和と人権を考える映画評論 「人権」や「平和」について考えさせてくれる映画が存在します。それは時として、人の考え方、生き方を変えるくらいの力を持つこともあるかもしれません。

 オリバーストーン監督の「プラトーン」「7月4日に生まれて」の2作品は、ともにベトナム戦争に翻弄される若者を描いたもの。とりわけ後のものは、当時20歳だった私の人生観をすっかり変えてしまいました。アメリカ先住民族を描く「ダンス・ウイズ・ウルブズ」、伝説の黒人運動指導者を描いた「マルコムX」、アパルトヘイトの南アフリカを描く「遠き夜明け」は、百冊の本より人権について深く考えさせてくれます。スピルバーク監督の「シンドラーのリスト」「ミュンヘン」の2作品はユダヤ人の人権問題の複雑さを教えてくれるし、少年兵問題を描く「イノセント・ボイス」「ブラッド・ダイヤモンド」は、最新の人権問題を提起してくれています。近時の収穫はソ連の戦争犯罪を描くアンジェイ・ワイダ監督の大作「カティンの森」と、レバノン内戦を描いてアカデミー賞にノミネートされた「戦場でワルツを」でしょうか。

 このコラムは「人権」と「平和」を考えるツールとして、映画を活用しようというもの。映画にだって色んな使い方があっていいはずではないですか?
 映画に関心がある方もない方も、ときどき、覗いてみてください。

 なお、このコラムは、原則として、所謂「ネタバレ」を恐れず書かれています。「ネタバレ」を防止しようとすると、映画を正当に評論することが困難だからです。したがって、「ネタバレ」は困るという方は、一度、映画を見てからお読みになってください。