教科書問題~各社対比表~

教科書問題について、横浜市教科書採択連絡会が集約した各社の対比表が完成しました!
中学校の歴史と公民の教科書について、項目別に各社の違いがまとめられています。

◆2015年採択 社会科全社 項目別対比表 歴史(PDF)
◆2015年採択 社会科全社 項目別対比表 公民(PDF)

例えば歴史教科書の対比表によると、日本国憲法について(表1ページ目の最下部)

東京書籍では

日本政府は初めにGHQの指示を受けて改正案を作成しましたが,大日本帝国憲法を手直ししたものにすぎませんでした。・・徹底した民主化を目指すGHQは,日本の民間団体の案も参考にしながら,自ら草案をまとめました。日本政府は,GHQの草案を受け入れ、それをもとに改正案を作成しました。・・帝国議会の審議を経て,・・日本国憲法が公布され,・・施行されました。新憲法は,国民主権,基本的人権の尊重,平和主義の三つを基本原理としました。 (p244~245)

と記述されているところ

育鵬社版では

GHQは,わが国に対し憲法の改正を要求しました。日本側は,大日本帝国憲法は近代立憲主義に基づいたものであり、部分的な修正で十分と考えました。しかし,GHQは日本側の改正案を拒否し,自ら全面的な改正案を作成すると、これを受け入れるように日本側に強くせまりました。天皇の地位に影響がおよぶことをおそれた政府は,これを受け入れ・・議会審議では・・議員はGHQの意向に反対の声をあげることができず,ほとんど無修正のまま採択されました。(p231)

と記述されており、育鵬社の教科書が「日本国憲法はアメリカによって押しつけられた憲法である」と子ども達に教えようとしていることが分かります。

育鵬社教科書のこの記述による問題点は多岐にわたりますが、「押しつけられたルールなのだから守らなくてよいのだ」と、いま安倍政権が(改憲を待たずして)もはや既に実行に移していると言ってよい“立憲主義の無視”をも肯定しかねない、大変危険な考え方です。

表2ページ目にある自由社版の教科書も、同項目において同様の意図を示しており、いわゆる「つくる会」系の教科書と呼ばれる育鵬社・自由社の教科書が含む危険性が見てとれます。

こうして比べてみると「つくる会」系の教科書がいかに異質であるかがよく分かります。しかし、実際に学ぶ子ども達は複数の教科書を見比べて勉強することはできません。もし育鵬社版や自由社の教科書が採択されてしまった場合、多くの子ども達がその危険性に気付くことは出来ないでしょう。
前回の採択で育鵬社版が採用された地域の子ども達はいま実際に育鵬社版の教科書で学んでいるのです。

前回の採択から4年。
まもなく、全国で教科書採択に際する教科書展示会が開催されます。(→教科書展示会についてはコチラ)
是非お近くの会場まで足を運び、市民の意見を教育委員会に届けましょう!