護衛艦「たちかぜ」イジメ自殺事件 完全勝利判決!

護衛艦「たちかぜ」イジメ自殺事件 完全勝利判決本日平成25年4月23日、神原弁護士と阪田弁護士が弁護団として参加している護衛艦「たちかぜ」イジメ自殺事件の控訴審で、控訴人側の完全勝利判決が言い渡されました!

護衛艦「たちかぜ」イジメ自殺事件 完全勝利判決

=======以下、弁護団の声明文です(速報)=======

護衛艦「たちかぜ」イジメ自殺事件・弁護団声明
2014年4月23日

1(判決の結論)
 海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」に配属された1等海士が、先輩隊員から暴行・恐喝の被害を受けたことを苦にして、2004年10月27日に21歳で自殺した護衛艦「たちかぜ」イジメ自殺事件について、自殺した1等海士の遺族が、国及び加害者の先輩隊員を被告として損害賠償を求めていた訴訟において、東京高等裁判所第23民事部は、2014年4月23日、国及び先輩隊員に対し、自殺による損害を含め、合計約7330万円の損害賠償を命じる判決を下した。
 また、判決は、国による「艦内生活実態アンケート」及び聴き取り文書の隠匿についても違法性を認め、国に対してはさらに20万円の損害賠償を命じた。

2(相当因果関係)
 2011年1月27日に横浜地方裁判所で言い渡された判決は、「たちかぜ」幹部らの指導監督義務違反、及び、先輩隊員の加害行為の違法性を認め、自殺との事実的因果関係を認めたが、自殺について予見可能性が無かったとして、自殺との相当因果関係を否定し、暴行・恐喝による損害の範囲でしか損害賠償を命じなかった。
 この点について、判決は、2等海曹の後輩隊員に対する暴行の事実が申告された時点で、乗員らから事情聴取を行うなどして、2等海曹の行状や後輩隊員らが受けている被害の実態等の調査をしていれば、1等海士の心身の状況を把握することができ、2等海曹に対する適切な指導が行われていれば、1等海士の自殺を回避できた可能性があるとして、1等海士の自殺について予見可能性を認め、自殺との相当因果関係を認めた。
 判決は、分隊先任海曹や班長が1等海士の変調に気付かなかったとしても、それは単に部下に対する配慮を欠いていたものであることも示しており、幹部自衛官らに、部下の心身の負担に対する配慮を行うだけでなく、部下の心身の状況を積極的に把握することをも求めるものであって、自衛隊内部における自衛官の自殺に対する積極的な対応を幹部自衛官らに求めるものとして評価することができる。

3(文書隠匿の責任)
 本件では、控訴審の段階に入り、原審で国の指定代理人を務めた3等海佐が、国による「艦内生活実態アンケート」などの文書の隠匿を告発するという異例の展開をたどった。
 この点について、判決は、横須賀地方総監部監察官が、平成17年当時、1等海士の父親からの行政文書開示請求に対して、「艦内生活実態アンケート」の存在を認識しながら、これを廃棄済みであるとして開示を行わず隠匿したことを認定し、違法性を認めた。さらに、判決は、「たちかぜ」艦長が、平成17年当時、艦長ファイルに綴った聴き取りメモを開示せず隠匿したことについても認定し、この点についても違法性を認めた。
 これは、国による行政文書の隠匿について、これを正面から認定し、違法性を認めたものとして評価することができる。

4(まとめ)
 本件は、2004年10月27日に被害者が自殺し、2006年4月5日に訴訟の提起がなされた事案である。東京高等裁判所における判決で、1等海士の自殺に対する国及び加害者の法的責任が認められるまで、非常に多くの歳月を費やした。そのため、訴訟が争われている間に、自殺した隊員の祖父や父親をはじめ、多くの関係者が亡くなった。
 訴訟が長期化した背景には、自衛隊が事件に関連した記録の提出に消極的な態度をとり続け、さらには「艦内生活実態アンケート」など、1等海士の自殺についての予見可能性の判断に影響を及ぼす重要な証拠を隠匿したことが挙げられる。
 特に、「艦内生活実態アンケート」などの隠匿は、3等海佐の内部告発が無ければ、明るみに出ることはなかったのであり、その悪質性は極めて強い。
 防衛省・自衛隊においては、本件判決を重く受け止め、自衛隊内での「私的制裁」の横行と「私的制裁」を原因とする自衛官の自殺という人命に関わる重要な問題について、問題の根本的な解決にっながる対策を講じることを強く求めるものである。同時に、行政文書の隠匿などという決してあってはならない不祥事を、今後、二度と起こさないよう内部の対策を徹底することも、強く求められるものである。

以上

判決の概要はこちらです。

護衛艦「たちかぜ」イジメ自殺事件 完全勝利判決


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